第64話

目が覚めると知らない家だった。





「道端で寝るなんてらしくないな。」裕二さんがいた。






「裕二さんの家?」そう尋ねると「道端で倒れてるの見つけて、寝てるだけだったからうちに連れてきた。」





「ごめん、ありがとう。」起きあがろうとしたら「まだ横になってな。貧血気味だから。」と言われ、確かにフラフラしている事に気がついた。





「リカに心配かけるの嫌がると思ってここに連れてきたけど、辛かったら病院いくか?」と聞かれ私は首を横振った。





「何かあった?」いつにもなく真面目な顔だ。






「なんか、仕事慣れなくて。眠れなかったの。私、人付き合いが苦手だから。」そう言うと裕二さんは少し黙って





「辛かったら仕事辞めろよ。」と言った。






「辞めれないよ。」あいつに渡すお金もあるし。生活にはお金は必要だ。





「リカだって、経営してるし。俺のとこだってある。働き口なんて何処にでもあるよ。」裕二さんはそう言った。






正直、仕事を辞めてしまいたかった。





父親なこともそうだけど、馴染めない場所にずっといるのは辛かった。




私はそれから1ヶ月後、仕事を辞めた。

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