第63話

「いくら?」俯きながらそう聞いた。





「とりあえず、十万でいいや」そう言われ、私は銀行から下ろしてきたお金を渡した。





きっと、一度渡したらまた来る。でも、怖かった。





大ごとになるのは嫌だし、誰にも迷惑をかけたくない。





「もう。来ないでよ」そう言うと、男は笑ってファミレスを後にした。





その日から毎日あの男の夢を見るようになった。





私はどんどん疲弊していった。





そして、たまならお金をせびりに来る男に毎日怯えていた。





ある日私は仕事帰りに歩いているところ、倒れた。

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