社会人
第62話
4月からは慌ただしく毎日を過ごしていた。
新しく入った職場で慣れない仕事をこなす。
人付き合いが苦手な私は知らない人ばかりの場所でどうにか仕事をしていた。
最初は本当に毎日大変で疲れて、帰ると直ぐに眠ってしまっていた。
リカは、すごく心配してくれていたけど3ヶ月もするとだんだんと業務にも慣れてきた。
ある日、いつも通り仕事をしていると
「渡辺さん、用事があるってエントランスにお知り合いが来てますよ。」と言われた。
知り合いなんて数人しかいない。
私は相手が予想できないまま、エントランスに向かった。
「やっほー、すーずちゃん」
思い出したくない人がいた。
「なんで…」私が聞くと「娘に会いに来ることに理由いる?」ニヤニヤと笑っている。
「仕事中なので帰ってください。」そう言うと「そうだよね。じゃあ、そこのファミレスで待ってるから、仕事終わったら来てよ。」そう言われた。
行かなかったら何をされるかわからない。
目的がわからないまま帰るなんてできなかった。
仕事が終わり、ファミレスに向かうと父は珈琲を飲んでいた。
「よっ、すずちゃん。」それを無視して「ご用件は?」と尋ねた。
「久々の親子の再会を楽しもうよ。」相変わらず呑気な人だ。
「私は貴方を父親なんて思いたくない。」私が睨みつけながらそう言うと「まぁ、認知してないし。戸籍上は違うしな。」と笑っていた。
「まぁ、本題だけど。金ちょうだい」手を差し出しながらそう言った。
「渡すわけないでしょ。」そう言うと「これなーんだ。」と、写真を出された。高校生時代の私が着替えている写真や寝ている写真だ。
お風呂の写真もある。
私はびっくりして直ぐにその写真を取り上げた。
「俺、こう言う写真いっぱい持ってるよ。最近は合成だってし放題だ。会社に送りつけるよ。」
あの日みたいな笑っている。
私を襲った日みたいに。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます