第56話
「特にやりたい事もないし、勉強は独学でもできる。」私がそう言うと「頭がいいのに勿体ないわ」と言われた。
因みに誠くんは旅に出ると言っていた。
相変わらずよく分からない人だ。彼曰く「次男だから、楽なんだよ。」と笑っていた。
そうと決まったら、就職活動をしないといけない。
適当に運送会社の事務を受けたら受かったからそこに行くことになった。
別になんでもよかった。
暮らしていけるだけの給料があって、この町で大好きな人たちと一緒にいれたらそれで十分だった。
夏休みが終わり、修学旅行の時期になった。
自由行動の時間は、誠くんに誘われたから2人で行動した。
友だち達と行動しなくていいのだろうか。と思ったけど「あいつらとは、夜抜け出して遊ぶから大丈夫」と言っていた。
夜抜け出して、先生にばれて反省文を書かされていたのは言うまでもない。
私たちが行ったのは東京だった。
どこかで洋に、会えるかもしれない。そう思ったけど、そんな簡単に会えるわけない。
分かっていた。
「クレープ食いたい。リン、待ってて。」
今は誠くんと原宿に来ている。
彼はクレープが食べたいらしく、クレープ屋に並びに行った。
原宿は、目新しいものが沢山あるため、キョロキョロとあたりを見渡していた。
「あ…洋?」目線の先に洋の後ろ姿が見えた。
私はそれを追いかけて声をかけようとした。
「よ……」私はその声を止めた。
隣に女の人がいた。
横顔はとても綺麗で、圧倒されてしまった。
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