第55話

私は一年の男の子に「ごめんね。」と言うと荷物を持って教室をでた。



少し遠くを歩く私に「俺、諦めないです!」と叫んでいた。




彼は宣言通り、その日から私の元によく来るようになった。




彼は犬飼草太という名前で、名前の通り犬みたいな子だ。





人懐っこい性格で喜怒哀楽がわかりやすい。




でも、彼とそこまで仲良くなることはなかった。





一度告白されてしまったからか、友達として見ることはできないし、心を許すことができなかった。





そんな状態のまま夏になった。






今年の夏も洋に会うことはできなかった。





去年と同じく帰省の時期が被ってしまったのだ。





和歌山に行った時におばあちゃんに「高校を出たらどうするの?」と聞かれた。





クラスの子達は進路が決まり、勉強をしている。私の通っている高校は進学率が高い。というか、殆ど大学進学だ。




私も担任に難関大学を受験するように言われた。




でも、大学に行くつもりはない。





「就職するよ。いつまでもお世話になるなんてできないよ。」現在の生活費はおばあちゃんがリカに送っている。




携帯代だってそうだ。




自分で稼ぐと言ったけど、学生はそんなことしないで甘えるように言われてしまった。

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