第19話

学校で続くいじめに加え、あの男から身体を触られるようになりだんだん頭がおかしくなってきた。





学校での成績は下がりぼーっとしていることが増えた。




様子のおかしい私をリカと洋は心配して何度も「何かあったのか」聞いてくれたけど、私は「何もないよ。」と答えた。





「リン、最近おかしいよ。」登校中洋に言われた。





「いつも通りだよ。」私が答えると「俺に言えないの?」そう聞かれた。




本当は相談したい。でも、心配かけたく無い。






「本当に何でも無いの。夏が近づいてきて暑いからかな?調子が悪い。」そう言うと、洋はため息を吐いてそれ以上何も聞いてこなかった?





この日の夜はいつもと何か違った。





相変わらずママは仕事だ。この男が来てからスナックで仕事を始めたらしく夜はいない。





それに引き換えこの男はずっと家にいる。仕事はしていないっぽい。





「鈴ちゃん」今日も部屋に入ってきた。





「出てってください。」そう言う私を無視して中に入ってくる。




「鈴ちゃん、金貸してくれない?沢山バイトしてるよね?」




「渡すお金なんてないです。生活費とかで殆ど使って残ってないです。」




それに、リカと洋に旅行をプレゼントするんだ。だから、絶対渡したくない。




「ふーん」そう言うと、男は近づいてきて、ハサミを取り出した。




「え、何…」私がそう言うと、服と下着を切った。





一気に服を剥ぎ取られ身体をまじまじと見られた。





私はすぐに身体を隠すような体勢になると「で、通帳は?」と、男は聞いてきた。





ハサミは下半身に近づいてきて恐怖で「カバンの中。」と答えてしまった。





カバンに近づく男は私に口座番号を聞く。




わたしは震える声で番号を言った。





男はニヤッと笑った。




通帳をポケットに入れるとまた、近づいてきたから、思いっきり男の身体を押して、転んだ隙に上着だけ持って裸足で家を出た。




訳もわからず走って、後ろからついてきていないことが分かると体の震えに気がついた。もう、夏が近いのに長袖の上着なんて着ているのは私くらいだ。





とぼとぼ歩き気がついたらリカと洋のマンションの前にいた。





いつもは合鍵ではいるけど荷物なんて持っていないし、バイトの時間でもないのに驚かれてしまう。





でも、誰かに頼りたくて怖くて仕方なくてインターホンを押した。





「はい…、リン?ちょっと待ってて。」そう言うとすぐにロックが外れてしばらくして洋が出てきた。





私は無言のまま家の中に入る。





「長袖暑いだろ?汗かいてる。上着かけてやるから脱ぎな。」洋はそう言った。




私が固まったまま、立ち尽くしていると洋は上着を脱がせようとしてくれた。




チャックをおろした洋は驚いたような顔をした。





上着の下に何も着ていないことに気がついたのだろう。

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