第18話
「一応、3年生だからな。大学受験もあるし。」洋はそう答えた。
そっか、洋は後一年したら大学生で高校にはいないんだ。
ご飯を作り終え机の上を見ると本が置いてあった。
「洋、これ読んでいい?」そう聞くと洋は一度顔を上げて「いいよ。」と言った。
それから洋に話しかけられるまでずっと本を読んでいた。
「そろそろ帰りな。送るから。」時計は21:30を指している。
洋は時間が遅くなるといつも家まで送ってくれる。
「これ、持って帰るか?」私の読みかけの本を指さす洋にそう聞かれて「いいの?」と答えた。
洋は頷くと紙袋に入れてくれた。
「ありがとう。すぐに読んで返すね!」そう言うと「ゆっくりでいいよ。」と洋は笑った。
家まで送ってもらい、洋と別れ家に入るとママはいなかった。
「ママ?」そう呼ぶと中から出てきたのは父親だけでママはどこにもいない。
「仕事だよ。」父はそう答えた。
「そうですか……」わたしはそう答えると部屋に戻った。
部屋で本の続きを読んでいるとガチャっと扉が開いた。
「鈴ちゃーん。冷たいな〜」そう言いながら近づいてくる男はお酒くさい。
「なんですか?」そう尋ねるとわたしの身体を触ってきた。
ベタベタと触ってくる手は気持ちが悪くて。でも、何が起こっているのか分からなくて固まってしまった。
数分のことだったのかもしれない。でも一生に感じられるほど長い時間に感じた。
部屋を出ていってからも私は何が起きたか分からなくて呆然としていた。
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