高校1年生

第12話

「春だ…」



春風はまだ少し寒くて目を細めた。





今日は高校の入学式だ。


 



「リン!」声のする方を見ると洋がいた。




私は今日から洋の通う高校に行く。





高校へ通うための手続きは遠くに住むおばあちゃんにやってもらった。





相変わらずママは私に興味がない。





あの日から洋と前以上に話すようになり、いつのまにか洋のいる高校を目指すことにしていた。





洋は頭がいいから大変だったけどどうにか受かることができた。





そして私達の距離は少しずつ縮まり彼を呼び捨てで呼ぶようになった。

   




ちなみにリカさんのことも今では呼び捨てで呼んでいる。





洋は私のことを妹のように可愛がってくれる。 


    




「リン、頭に桜ついてる。」そう言って頭についていたであろう花びらを取って私に見せてきた。





「ほんとだ。気がつかなかった。」そんな話をしていると周りの人たちの視線を感じた。





不思議に思ってコソコソ話している方を見ると





「やっぱりカッコいい…」とか「あの女誰?」とか言ってるのが分かった。




カッコいい?視線の先には洋。





「松下先輩やばいよね。カッコよすぎ。」





洋の名字は松下。でも新入生が知ってるほどモテるって…




「知らなかった…」私が小さな声でそう言うと洋は不思議そうな顔をした。





不思議そうな顔をする洋は、高身長で顔も小さくて鼻も高い。目はキリッとしている。




こう言う顔を世では〝かっこいい〟というのか…と感心しながら洋の顔を見た。

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