第11話
病院に行き、傷を見てもらうと思ったより酷かったらしく、跡が残るかもしれない。と言われた。
処置が終わると洋さんの横にリカさんが座っていた。
診察室から出るとリカさんは駆け寄ってきた。
「リカさん、お店は?」そう尋ねると
「あんたが怪我して来ないわけないでしょ。何よ、それ。大丈夫なの?」心配そうに聞いてきた。
「跡が残るかもしれないけど、大丈夫だよ。もう痛くない。」私はそう答えた。
「跡って……女の子なのに…」涙ぐみながら抱きしめてきたリカさんはあったかかった。
跡が残ることはそんなに悲しくなかった。
そんなに自分の顔は好きでもないし、別に傷があろうがなかろうが困ることはないからだ。
むしろ、私が傷ついたことで心配してくれる人がいることを知って嬉しかった。
「親がやったの?」リカさんは真剣な顔で聞いてきた。
私は頭を振ると「違う。家でお皿割っちゃって、転んで破片が刺さったの。」と答えた。
「…そんなわけ…!」リカさんは何か言いたげだったけど洋さんが「リンも疲れたと思うし、今日は休ませてやれよ。」と言ってリカさんはそれ以上何も言わなかった。
家までタクシーで送ってもらい、家に入るとママは眠っていた。
ママはわたしの心配なんてしてくれない。
知っていたけど、寂しかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます