第11話

病院に行き、傷を見てもらうと思ったより酷かったらしく、跡が残るかもしれない。と言われた。






処置が終わると洋さんの横にリカさんが座っていた。





診察室から出るとリカさんは駆け寄ってきた。





「リカさん、お店は?」そう尋ねると





「あんたが怪我して来ないわけないでしょ。何よ、それ。大丈夫なの?」心配そうに聞いてきた。





「跡が残るかもしれないけど、大丈夫だよ。もう痛くない。」私はそう答えた。






「跡って……女の子なのに…」涙ぐみながら抱きしめてきたリカさんはあったかかった。





跡が残ることはそんなに悲しくなかった。





そんなに自分の顔は好きでもないし、別に傷があろうがなかろうが困ることはないからだ。





むしろ、私が傷ついたことで心配してくれる人がいることを知って嬉しかった。





「親がやったの?」リカさんは真剣な顔で聞いてきた。





私は頭を振ると「違う。家でお皿割っちゃって、転んで破片が刺さったの。」と答えた。




「…そんなわけ…!」リカさんは何か言いたげだったけど洋さんが「リンも疲れたと思うし、今日は休ませてやれよ。」と言ってリカさんはそれ以上何も言わなかった。





家までタクシーで送ってもらい、家に入るとママは眠っていた。






ママはわたしの心配なんてしてくれない。





知っていたけど、寂しかった。

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