第9話

「若い時の自分にあまりにも似ていたから。不安でいっぱいの顔をしたあんたを見捨てられなかった。」




リカさんはそう言った。





「え…」




「リン、親とうまくいってないんでしょ。私もそうだったから分かるよ。」





「リカさん…」




私は泣きながら謝った。





リカさんは私を抱きしめると、昔の話をしてくれた。





過干渉で暴力を振るう親に悩んでいた時に、よく相談に乗ってくれていた家庭教師と恋に落ち洋さんを妊娠したらしい。





最後まで親とは確執があって不仲のまま駆け落ちをした。





旦那さんは洋さんが3歳の時に亡くなったらしい。





それからリカさんはキャバクラで働くようになり、ご縁もあったりしてお店を出せるようになった。




「色々あったけど、お金がない時が一番不安だった。だから、お金を求めて中学生ぐらいの女の子がキャバクラに面接に来たら流石に放って置けなかった。」





リカさんは困ったように笑った。





その日から私は前よりもリカさんのマンションにいる時間が長くなった。

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