第8話

もともと中学校には不登校で行ってなかった為、家で家事をしたりしてから夕方からマンションへ向かいご飯を作るようになった。





テスト期間など関係なしに働きにくる私を心配してか、「テスト期間は休めよ。」と洋さんが言ってくれたけど「学校行ってないので大丈夫です。」と断った。





ある日、洋さんは私に教科書を渡してくれた。




背表紙には洋さんの名前が綺麗に書かれていて彼のものだとすぐにわかった。




「知識はあって損にはならない。勉強をして高校は出た方がいい。」そう言った。





なんとなく彼には逆らえなかった。





といっても勉強はもうずっとしていない。教科書についていける訳もなく眺めていると、洋さんが勉強を教えてくれるようになった。





この生活が楽しい半分、リカさんにハタチと嘘をついていることに罪悪感があった。




沢山お給料をもらっていて申し訳ない。





なんどもいうタイミングはあったと思うけど、言うのが怖くて言えなかった。




ある日リカさんが忘れ物をしたらしくマンションに取りに帰ってきた。





「あ、リン!夕飯作りありがとうね。私の分の夜食まで作ってくれた感謝してるよ。」そう笑いかけてきたリカさんに嘘がつき切れなくなった。






「あの…私ほんとはハタチじゃないです。ごめんなさい…」




意を決してそういうと、リカさんは私のほうを見て





「知ってたよ」と言った。






私は深く下げた頭を上げるとリカさんを見た。






「20歳じゃない事くらいすぐに分かったよ。どう見ても10代。しかも中学生くらいでしょ?」





私は頷いた。「15歳です。」そう答えるとリカさんは笑った。





「お店じゃ雇えないから、マンションに連れてきたの。雇えなくてもお小遣いならあげられるからね。」





「なんで、そこまで…」

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