第6話
「息子の世話って……」
リカさん若いのに子供がいるのか…園児とか…?小学生?
そう思いながら、子どもが好きそうなオムライスを作りながら息子さんの帰りを待った。
30分くらい経つと扉が開く音がした。
「…リカ?帰ってんの?」想像していた小さな子どもの声とは違い大人っぽい声な驚き瞬きをした。
リビングに入ってきた彼はキッチンにいる私を見つめると「誰?あんた。」と言った。
「あ……私………リカさんに雇われて…」
そう言うと彼はため息をつきながら携帯を片手にリビングを出た。
数分してリビングに戻ってくると「リカ………あー…母さんから話は聞いた。あの人は相変わらず何考えてんだか……」
彼はそう言い頭を抱えている。
「あの、私す……リンって言います。私てっきり小学生くらいの息子さんだと思っていました…」
そういえば今日から〝リン〟になったことを思い出してそう名乗った。
「あー、あの人は何も言わずに……俺は洋。高2。君……何歳?」
「えっと………中さ………ハタチです。」
中3と言いそうになりすぐにハタチと言い直した。
「ハタチはいくら何でも盛り過ぎ。本当は中3だろ。」真っ直ぐ私を見つめてくる洋さんから目を離せなかった。
「あの…!言わないで……ください…お金が欲しいんです。」
目を伏せてそういうと、彼は静かに私に近づき私の腕を掴んだ。
「これが関係してる?家出でもするつもり?」
一昨日の火傷だ。すぐに冷やさなかったから跡になってしまっていた。
私はバッと手を振り解くと少しだけ後ろに下がった。
「そんなことないです。これは不注意で…あの…迷惑掛けないです…だから…」
「はぁ…、わかったよ。でも母さんには迷惑かけるなよ。ただでさえ店が忙しいんだ。」
私は頭を縦に振るとキッチンへと戻りオムライスの卵をチキンライスにかけた。
「あの……これ…」
ソファで本を読んでいた洋さんは本から目を離すと食卓に座った。
「いただきます。」手を合わせてそういう洋さんに育ちの良さを感じた。
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