第5話

あれから2日経ち、初入店の日が来た。




動悸が止まらなくて、扉を開ける手が震えた。





「あ、来たの?早かったね。こっち来て。」




「あの、私必要なものとか…分からなくて……すみません。」


よく分からなくて身一つで来てしまった私を見るとリカさんは




「あんた、何でもするんだよね?」そう聞いた。




私は固唾を飲むと頷いた。




「じゃあ、こっちで業務してもらうから。」




そう言われて、お店を出るリカさんに続きお店を出ると綺麗なマンションの前に着いた。





私は訳もわからずリカさんに付いていく。





「ここで働いてもらうから。」マンションの一室に慣れたように入りリカさんはそう言った。





「ここ…ですか?」





豪華ではあるけどお店ではないようだし、私はここで何を…




「息子の世話をおねがいしたいの。ご飯とか作ってやって。弁当ばかりで心配だったのよ。そうだ。私の店で働き始めるんだから源氏名つけよ。付けたいのとかある?」




私は「特には…」と首を振ると「あんた名前は?」と聞かれた。






「渡辺鈴です。」名前を言うとリカさんは「鈴ねぇ……」と、つぶやいた。





自分の名前を呼ばれるのは久々で新鮮な感じがした。




「じゃあリンにしよ。あんたは今日から〝リン〟ね。」






そう言うと、リカさんは「仕事に戻るから。」と言い私に合鍵を渡すと家を出ていった。

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