第15話

 


 その男の子は、私の前を通り過ぎた少し先で立ち止まってしまった。



(……?) と、不思議に思って顔を上げると。



 背を向けたまま、その男の子はしばらく立ち尽くして動かない。



 その後ろ姿はなぜだか肩に力が入っているように強張って、頭は地面を見つめているのか、うなだれるように低い。




(……あら?そういえば)




 この着物の柄、なんだか 見覚えがあるわ?

 この生成りに縦縞たてじま模様の着物の柄。




 そのとき 私は気づいた。




 この子。さっきから私の前を、何度か通り過ぎている………。




(いったい、どうして?)




 その夕日の色に染まる背中を思わずジッと見つめていると、


 その男の子はくるりときびすを返して、大股でこちらに歩いてきた。




 その口元は、きつく真一文字に結ばれて。

 大きな目をギロリと睨ませていて。


 夕日で朱に染まった顔が、怖い、と思った。




(……兄さま!助けて!)




 ギュッと目をつぶり、心の中で叫んだけれど。




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