第9話



 本来なら『什の掟』に背いた者には、罰が与えられます。




 一番軽い罰は 「無念むねんをたてる」 ことです。


 これは 自分の落ち度を皆さまの前でお詫びし、

二度としないという誓いをたてることをいいます。



 少し重い罰は 「しっぺい」 です。


 手の甲を皆さまから打たれるのです。



 その次に重いのは 「あぶり」 。


 火鉢の上に手をかざして、熱くなっても我慢しなければなりません。



 そして一番重い罰は 「派切はぎれ」 です。


 これは仲間はずれにされて、一緒に遊べなくなります。


 自宅で謹慎・反省し、改心の情が表れた時に、やっとお仲間の皆さまに許してもらえるというきびしい罰でした。




 すべては『主君と国に忠誠を尽くす立派な武士となるため』。



 会津藩はそういった人材の育成に力を入れていたのです。



「君に忠」「父母に孝」 という教えを、兄さま達だけでなく、私も小さい頃から叩き込まれて育ちました。




 .

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る