第8話

 


 どうなるのかしら?



 戦ごっこというのは、単に棒などを持って戦い遊ぶことなのでしょうけど。



 いきり立つふたりを前に、私もオロオロとうろたえるばかり。



 兄さまも………。

 ただ黙って ふたりを見上げるばかり。



 まわりの皆さまも、なだめて場を収めようとしますが、どちらも引こうとはしません。




「……それなら」




 あ。兄さまが口を開いた。




「それならばどうだろう、今日の戦ごっこは二人一組で行動するんだ。

 組になった者同士は、それぞれが互いの背中を守る。そうすれば死角は消える」




 その言葉に、皆さまがいっせいに兄さまを振り向かれました。




「そうだな、それがいい。今日の戦ごっこは二人一組で軍を二分し、何回か組み合わせてやろう。

 どちらの言い分にも一理あるし、罰はなしだ。 それでいいな、みんな」




 座長である俊彦さまが 皆さまの顔を見回すと、皆さまも 源次郎さまも勇作さまも、素直に頷きました。



 それを見て兄さまも 目を細めて頬を緩めます。



 私はといえば。



 言葉ひとつでその場を収めた兄さまが、とてもとても誇らしくキラキラ輝いて見えて。


 花陰でひとり、興奮してバタバタしておりました。




 兄さま!素敵すぎます!!




 .

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る