第7話

 



「何か言うことはありませんか?」




 俊彦さまが穏やかな声で、違反をした者はいなかったか皆さまに尋ねます。


 すると、




「はいっ!」




 兄さまのとなりに座していた男の子が手を挙げました。




「はい。では、源次郎君」




 はいと答えると、源次郎と呼ばれたお方が、




「昨日勇作君は戦ごっこのとき、背後から俺を棒で叩きました!


 後ろから襲うなんて卑怯だと思います!


 正々堂々、正面から戦いを挑むのが本物の武士だと思います!」




 そう申し上げますと、今度は別の男の子が怒って立ち上がりました。




「何言ってんだよ!あれは奇襲戦法だろ?

 敵の背後をつくことは、けして卑怯な振るまいじゃないぞ!?」




「なにおう」「やるか」と、そのふたりは立ち上がり、取っ組み合いを始める勢いです。




「おい、ふたりともやめろ。落ち着けって」




 俊彦さまがたしなめますが、ふたりはなかなか引きません。



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