第4話
仕方なく掃除を済ませ、庭でひとり手鞠で遊んだり、花を摘んで蜜を吸ったりしていると、
兄さまのお仲間がたが屋敷へやってきて、座敷にぞろぞろと集まってまいりました。
恥ずかしくて鞠を手に、サツキの淡い桃色の中へ隠れたのだけれど。
「あれ?おい 八十治、あの子誰だ?」
降りかかるその声に思わずドキッとして、私はおずおずと顔を
見上げると見知らぬ男の子が私に指をさし、となりにいた兄さまも驚いたようなお顔をこちらに向けてます。
「ああ……。妹だよ」
「妹?お前 妹なんていたか?」
「つい最近できた。新しい継母上が来たんだ。妹はその連れ子」
「ああそうか。お前は昨年母上を亡くされたんだったな」
そう言われた兄さまは、困ったように瞳を揺らして笑うだけ。
「俺もだ。本当の母は早くに病で亡くなった。お互いつらいな」
その男の子も淋しく笑みをこぼしておっしゃいました。
けれど私は 兄さまのそのお顔を見ると、胸がツキンと痛むのを感じるのでした。
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