第5話

 




 私は『什のお話』を実際に見るのは初めて。




 はしたないと思いつつも好奇心には勝てず、そのまま庭の端の大きな濃桃のツツジの陰に隠れて、障子の開け放たれた座敷の中の様子を覗いた。




 お仲間がたが全員集まると、皆さまは円を描くようにして座り、母さまが人数分のお水を出しておもてなしします。



 夏は水。冬は白湯。



 それしかもてなしてはならないと、決められているそうです。




「おい。今日の座長は誰だ?」



俊彦としひこ、お前の番じゃないか?」




 俊彦と呼ばれた男の子は、先ほど兄さまと話されていたお方。



 美少年だわ、と思った。



 色白でスラリと鼻筋が通ってて。

 背も高くていらっしゃる。




 俊彦さまは 「ああ」 と頷いてゴホンと咳ばらいをなさると、涼やかな声を張りあげました。




「それでは『お話』を始めます。まずは掟の唱和を」




「?」と 見ていると、いきなり大音声が聞こえてきて、驚いた私は思わず肩をすくめた。




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