第2話

  


 八十治兄さまは、私の面倒をよく見て下さいました。


 継母の手前、そうせざるを得なかったのかもしれません。



 私は生来左足が悪く、走ることが苦手で、歩く時はいつも足を引きずっておりました。



 そのためか、人目に立つのを怖れて部屋から出たがらない私を、兄さまも気をつかってくださったのでしょう。



 足を引きずる 変な歩き方。

 何をするにもモタモタする私に、


 兄さまは叱りもせず、馬鹿にもせず、つねに優しく接してくださいました。




 ………こんな自分に良くしてくれるのが、とてもうれしくて。


 私はすぐ、兄さまを慕うようになりました。




「兄さま、兄さま」 と、悪い足でピョコピョコ歩きながらも、毎日兄さまの後を追いかけてばかり。



 兄さまはきっと、たいそう迷惑だったことでしょうね?




 でもこんな足だからと卑屈ひくつになり、あまり外に出たがらない私に、友達がいないことを知っていたからでしょうか。


 兄さまは苦笑いしつつも、私の相手をよくしてくださったのでした。






 ※卑屈ひくつ……いじけて人にへりくだること。



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