第36話

奈央は立ち上がると、カウンターキッチンの方へと歩いていく。奈央の姿を見ていると、すぐにこちらに戻ってきて、手には袋とタオルを持っていた。



奈央はもう一度しゃがみこむと、袋の中に破片を入れていく。



「俺んち。複雑だから」


「....複雑?」


「あんまり関わんない方がいい」


「....よく分かんないんだけど」


「まあ、兄ちゃんの機嫌は損ねないで」


「あー、うん」


「響(ひびき)は特に」


「響?響ってさっきの人?」


「いや、兄ちゃんじゃない。長男の方」


「長男?もう一人いるの?」

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