第85話

「そんな事言われたら行くしかねぇだろ」



そう言いながら、頬をキスしてくる。



「晃貴、私のこと好きだもんね」



からかうようにクスクスと笑っていれば、む、とした顔をした晃貴だけど。



「調子に乗るな」


「好きでしょ?」


「好きじゃねぇし、愛してるよ〜まきちゃん」



からかい返しをしてくる晃貴に、嬉しくて頬を染めていると。「年越しは電話する」と、甘く呟いた晃貴がキスをしようとしてきて。



キスをする前にある事を思い出した私は、「あ!」と声を上げた。


キスを中断されたことに眉を寄せ不機嫌になった晃貴は「なんだよ?」って言ってきて。



「お姉ちゃんがね、お雑煮作るらしいの、晃貴にも是非食べてって言ってたよ?」


「マジかよ」



ゲンナリとした晃貴は、「それいつ、あいつも食べんじゃねぇの?」って言ってきて。



あいつが聖くんの事だとすぐに分かった私は、「うん、2日に来るって言ってた」と返事をする。



元旦は家族と過ごせって言うし。

3日は確か倉庫で用事がある言ってたし、「晃貴、2日に来れる?」と言えば。凄く嫌そうな顔をした晃貴は、やっぱり聖くんをよく思ってないらしいけど。

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