第74話

さっきも沢山したのに。

っていうか晃貴、眠たくなかったの?


「っ、ん〜⋯!っ、はあ」



やっと、離れてくれて、大きく息を吸った私に、意地悪な笑みを浮かべるのは、



「えろいねーまきちゃん」



また、私をバカにしてくる男。



「俺の事誘っちゃって」


「さ、」



誘ってなんかない!

そう、言おうとした。


あ、でも、ちょっと待って、って。私の脳がストップをかける。


今ここで誘ってるって言えば、晃貴の気持ちが分かるんじゃないかって。本当に、2度としないのか。


誘いに乗れば、晃貴と、もっと、ふれあえるんだら。



「さ? なんだよ?」



顔を近づけてくる晃貴。

なんだか恥ずかしくなって、顔が赤くなった。晃貴にずっと見下ろされてる。



「さ、」


「さ?」


「さそ、ってる⋯」



そう言った瞬間、一気に恥ずかしくなってきて。顔を背けようとした私を許してくれないのが怪力魔人⋯。


私の言葉に、少し、目を見開いた晃貴は、




「え、マジで⋯、本気?」と、ゆでダコみたいに赤くなってる私と、無理やり目を合わせてくる。



ちがう!今のナシ!

ナシだから!


そう思って口を開こうとした時、



「お前、もう怖くねぇの?」と、からかっている口調とかイタズラじみた声じゃない、晃貴の声が聞こえて。


驚いているような、でも、真剣さが含まれるその声に私の方が驚いて、晃貴の方を見た。




怖くない?

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