第75話

少し、体を起こした晃貴は、「お前もう、泉のこと大丈夫なのか?」って、嫌な、事を聞いてきて。



怖い⋯

泉⋯

名前を聞くだけでも、嫌なのに。



「真希、もう怖くねぇのか?」



もう、怖くない⋯⋯泉を。

泉に、無理やり、された行為を。



「思い出さねぇのかよ」



思い、だす。

思い出すに、決まってる。

思い出せば今でも怖いのに。



「こわい、おもい、だすよ⋯」



忘れられるわけが無い⋯。


そう言った私に、眉を寄せた晃貴は、「バカはお前だ真希」と、頭を軽く撫でられる。



「俺とやって、思いだして、また寝れなくなったらどうする?」



晃貴とえっちをして。

泉を思いだして?

また、眠れなくなる⋯。



それは、



え、でも、それって。



「晃貴⋯、それがあったから、しなかったの?」


「そうだよ」


「に、2度と、えっちしないんじゃなかったの?」



私の言葉に、はあ?と、怪訝な顔をした晃貴は、「ンなわけねぇだろバカ」と、頭を撫でてくれたその手で頬を包んだ。

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