第67話

「今とどう違うの?」



眠そうな晃貴を見つめると、何だか晃貴は、複雑そうな⋯よく分からないって顔をして。



「さあ」


「さあって」


「そういうの自覚ねぇしなあ」


「無意識ってこと?」


「そうだな」


「私にもキレたりする?」


「それはねぇと思う」


「でも、無意識なんでしょ?」


「俺、真希ちゃん大好きだから、嫌われることしねぇよ」


「なにそれ」



私はクスクスと笑った。



「だから真希がそういう俺を見るのは、一生ねぇよ」


「一生?」


「ああ」


「キレてる晃貴を?」


「無いな」


「もし、見ちゃったら?」


「ねぇよ」


「偶然に見ちゃうかも」


「無いって言ってるだろ」


「⋯どうして?」



一生、晃貴のキレている光景を見ないらしい私。


つまりそれは、晃貴自身が見せないってことで。




「俺が無意識にそうなるのは、真希とか徹が傷つけられた時とか、⋯危ねぇときだけ」


「⋯⋯」

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