第66話

しぶしぶ本を机の上に置き、のろのろと晃貴の横に寝転べば、晃貴は機嫌良さそうに私に腕枕をしながら引き寄せてきた。


さっきまで、起こしやがってと不機嫌だったのに。あれは、怒っているうちに入らないのかな?




「怒ってる?」


「ん?」


「徹さん、晃貴のこと起こしたから」


「怒ってねぇよ。ムカついたけど」


「どうすればキレるの?」


「キレる?」


「どうすれば、晃貴って暴れるの?」


「暴れる? お前さっきから何言ってんだよ」


「私に大してキレない?」


「キレ⋯? 怒らねぇってこと? 俺、真希なら何してもいいって言わなかったっけ?」



そう言えば、そんなことを言っていたような。


あれ?でも、


晃貴は嫉妬して、ヤキモチやいて、不機嫌になるけど。


それは怒ってるうちに入らないの?



私の知りたい、晃貴の怒ってる姿は⋯。



「康二が言ってたから」


「何を?」


「晃貴はキレたら怖いって。どんな風に怒るの?」


「お前、そんな事康二と喋ってんのかよ」



呆れたように呟いた晃貴は、大きな欠伸をする。

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