第65話

「⋯いや、夜に行く」



少しずつ覚醒してきた晃貴は、声がハッキリしてきて。



「真希送ってからだから、8時ぐらい」



話を聞いているかぎり、夜から溜まり場に行くらしい。



「分かったって、うっせーな。切るぞ」



晃貴は投げやりな感じに言葉を吐き出しながら、通話を切ったらしく、枕元にポンっとスマホを置いた。



「徹さんなんて?何か用事じゃないの?」


「別に」



起こしやがって⋯と、文句を言いながら、晃貴はため息をついた。



「忙しいなら、私帰ろうか?」


「馬鹿なこと言ってんじゃねぇよ」



バカって⋯⋯。



「まき、来いよ、寝よ」



晃貴が後ろ髪を軽くひきながら、誘ってくる。



「寝ないよ、この本読むの」


「あとでもいいだろ?」


「今いい所なの」


「まきちゃ〜ん、お願い」


「そんな甘えたな声出してもダメ」


「かわいいかわいい真希ちゃん」


「はいはい」


「俺より本のが大事なのかよ」



う、


そんなこと言うの?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る