第60話

性格が悪くてずるい男は、私が1番の弱みらしいけど。

大好きな晃貴を傷つける事が出来ないから、結局は、私は晃貴にさからえない。



私も晃貴にはさからえないし、

晃貴も私にはさからえない。



いったい、勝つのはどちらなのか。





でも、分かることは1つ。


晃貴に傷つける言葉を言えない私は、一生、晃貴のからかいに勝つことはないってこと。



ああ、ほんとに、晃貴なんか、



晃貴なんか。






「す、き⋯だいすき、すき⋯⋯」


「っ、あーもう、だから俺をからかうな!」





―――私の「すき」という言葉に、頬を染めた晃貴も、私に勝つことはないんだと思う。










おわり

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