第59話

「ずるいのは、真希の方だろ?」



晃貴の片方の手が、服の中に入ってくる。



ずるい?

私の方?

え?



「な、なんで?私何もしてないよっ」



腰元の素肌をなぞる晃貴は、「俺はいつも真希に嫌われねぇように必死なのに、」と、首筋にもキスを落としてきて。



「真希はからかうことばっか考えてんだもんなあ」



からかうことばっかり?



「それは、こう、き、のほう、」


「俺がからかうのは真希が可愛いから仕方ねぇだろ」


「な、なに、それ」


「つーか、真希が意地悪なことしなかったら、俺だってしないよ」


「ちょっ、やめ、っ、」



晃貴が下着のホックを外してきて、晃貴の手のひらが、当たり前のように胸を包んでくる。



「いや、真希が俺をからかおうとした仕返し」


「も、ほん、と、ずるい⋯っ⋯」


「だから真希がからかってこなかったら俺もしないんだって」



そ、んなの、晃貴の勝ち逃げじゃない⋯。




晃貴の〝仕返し〟のせいで、しばらく部屋には誰も入れなくなり、甘い声を出す私に、晃貴は言う。




「まあ、俺の1番の弱みは、真希だけど」


「っ、ぁっ⋯」


「なんで本人が気づかねぇかなあ」


「や、やめっ、⋯そこ、」


「そこ?もっと?」


「ち、ちがっ、っ!あぁっ!」


「かわいいな、なんでお前、そんなかわいいわけ?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る