第45話

私の手が冷たいからか、気持ちよさそうに晃貴が瞼を閉じて。



「辛い?」


「⋯ん」


「帰ってほしい?」


「⋯」


「もし、私がいることで晃貴が気疲れするなら帰るから⋯」



私が静かに呟くと、瞼を開き、うつろな晃貴の目と視線が重なり合う。



「⋯⋯慣れてる⋯」


「え?」


「いつも⋯こういう時は⋯1人だったからな⋯」



いつも⋯⋯。

いつもこういう時、1人でこんな風に寝ていたの?お粥さえ、作ってくれる人はいない。



「真希がいなくても⋯問題ねぇから⋯」



問題ないって⋯。

大ありだよ⋯。

晃貴の熱い手が、晃貴の頬に触れる私の手に重ねてきて。



「⋯⋯帰んなよ⋯」



問題ないというくせに、帰るなと言う。



「⋯⋯晃貴⋯」


「真希がいると⋯安心する⋯」


「⋯うん」

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