第7話

「晃貴⋯、あの」


私は恐る恐る声をかけた。

寝てるけど、絶対怒ってる。


勝手に電話を代わるのも、人のスマホ投げるのもどうかと思うけど。


多分、私が「仁科君」と言っていたのが聞こえてたから。



「⋯浮気じゃないからね?」



そういった時、晃貴のまぶたが開き、私を鋭い目で見てきて。「あ?」と、低い声を出した。



「ほ、ほんと⋯本の貸してもらうのに⋯連絡交換しただけ⋯」


晃貴の眉間にシワがよる。



「怒ってる⋯?」


「分かってんなら聞くな」



だって⋯。



「ごめん⋯」


「謝んなら初めっからすんじゃねぇよ」



断りきれなかったから⋯。

でも、こんなの言い訳にすぎない。


私も買うからって、適当に誤魔化せばよかった。


だって、もし晃貴が、他の女と貸し借りしてたら嫌だもん⋯。

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