第6話

いつの間にか起きたらしい晃貴は、どうしてか私のスマホを手にしていて。



「誰だって聞いてんだろ」



どう見ても、通話中の仁科君に、話しかけていて。



「こ、こうき⋯、何してるの。電話⋯」


「⋯⋯あ?本?」



晃貴は怒った顔つきで、私を見ていて。


怒ってる⋯。

この目、どう見ても、怒ってる⋯。

嫉妬深い晃貴⋯。



「人の女に馴れ馴れしくしてんじゃねぇよ」



そういった晃貴は、無理矢理通話を切り、すごく不機嫌そうにスマホを傷つけない程度で、向かいのソファに放り投げ。



この後、また寝るのか、瞼を閉じて動かなくなり。



正直、今ごろ驚いてる仁科君よりも、機嫌が悪くなった晃貴の方に不安でドキドキしてた。


でも、晃貴は動かず、私の視界には私の大好きな爽やかな寝顔がうつり。

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