第2話

「私⋯、この人の作品、今読んでいるのが初めてだから⋯」


と言うと、名前も知らない男の子はポカンという顔をして。



「えええ、勿体ない!読むべきだよ!」


と、大きな声を出し。



「俺、この人、全巻持ってるんだ!良かったら貸すよ!」


「あ、いいよ⋯、図書館でも借りれるし⋯」


「置いてない本もあるよ!持ってくる持ってくる!せっかく読んでるし、もっと好きになって貰いたいから!いやあ、市川さんとは気が合いそうだよ!」


「⋯あの⋯」


「あ、でも、ちょっと弟に貸してるんだよね、持ってくる日電話するから、連絡先教えてくれない?」


「⋯私、ほんとに⋯」


「いいよいいよ!遠慮しないで!!」



遠慮しているつもりはないんだけど⋯。

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