第89話

「おい、仁。紹介してよ。美人さんのこと。」




私はそんなこと言われたこと一度もないから、きっとこのお友達は女の子は誰でも美人に見えてしまうタイプの人だと思う。





「クラスメイト。バイト先が同じ。」なんとも簡潔に紹介した東雲くんに彼はため息をついた。




「俺は、東條翼(とうじょう つばさ)仁の親友。君の名前は?」




そう言ってくる彼は、髪の色が真っ赤でとても目立つ。



「私は、佐々木凛々花。」




「顔色悪いけど、休むか?バイト。言っとくけど。」





「ううん、行くよ。家にいても暇だから。」




そう言って、立ち上がった私は頭がぐらっと揺れて倒れそうになる。






ちょうど目の前にいた東條くんが私のことを支えてくれた。






「大丈夫!?凛々花ちゃん!」




大丈夫と言いたいけど、頭はぐらぐら揺れるようで気持ちが悪い。




眠れていないし、食べ物もあまり食べれていない私は最近このような症状が続いている。





「ごめん、最近よくあるから。ちょっと休めば、治るから。」

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