第90話

ベンチに触らされた私は、東雲くんに「よく、立ちくらみとかあるのか?」と優しく聞かれた。





優しく声をかけてもらうなんて、あまりないから涙が出そうになった。




私弱ってるな。そう思いながら何も話せずにいると、少しその場から離れてた東條くんが水を渡してくれた。






「ちょっとはよくなるかとしれないから、飲めたら飲んで。」




そう言ってくれた。





「やっぱ、送ってく。バイトは休めよ。」





「やだ。休みたくない…」




「そんな体調じゃ、バイトにならねえだろ?」




東雲くんは正論を言っている。でも、帰ったらお父さんが起きてるだろうし、正直今は顔を合わせたくない。





「まだ、帰りたくないの。すぐ治るから。」




そう言うと、東雲くんはため息を吐き、「じゃあ、俺の家こいよ。」そう言って私を抱き上げた。

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