第85話

そう言っても、彼は首を振る。





「お願い。今がいい。」




「ダメだって………」私は眉を下げながら言うけど、彼は聞いてくれそうにもない。





泣きそうに頼んでくる日向に私はキスをした。




「リリちゃんは俺のことが一番だよね?」




彼は聞いてくる。





「大丈夫だよ。一番だから。」




日向は私のことを一番にはしてくれないくせに。





初めて反抗的な思いが心に宿った。






日向は誰のことも一番にしない。





裏切られる怖さから、自分のことを好きでいてくれる人はたくさん欲しいけど、誰も好きにはならない。

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