第45話

おかしいと思うタイミングはどこにでもあったはずなのに…




誰かに、「大丈夫だよ」って言って欲しくて、一回外に出て、電話をかけた。





数回コールが鳴ると、彼は電話に出た。





「もしもし、リリちゃん?」






「うん……今暇?」




「何かあった?」



日向は私に聞いてきた。





「お父さんが…「……あっ、ごめん。彼女がお風呂から出てきたから。電話切るね。」




私の言葉被せるように日向が言うと電話を切ってしまった。





会いたいって言うつもりだった。





言わなくて、良かった。




言っても、断られて悲しいだけだった。





大好きな彼は、いま彼女といる。




大丈夫。ずっとそうだったじゃない。そう思いながら、携帯の電源を消して病院の中に入った。






その日は父の目が覚めることはなかった。

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