第41話
先生は何度も「もったいない。」と言ってくれた。
実際、英語が得意だった私はもっと英語を勉強したかったが、それ以上に守りたいものがあったから仕方がない。
「まあまあです。」と答えると、さみしそうな顔をした。
「大丈夫?辛いこととかない?顔色も悪いけど・・・」
「大丈夫です。新しいバイト先も決まったし。今より時給もいいのでもっと生活は楽になると思ういます。」
「あなたのことを聞いているのよ。」
「大丈夫です。私が家族を守らないといけないので。」
「・・・・凜々花さん・・・お家で何かあった?」
彼女はきっと察している。父が来れなかったことで茉莉花が異常に不安がっていたことや、私が顔色が悪くなるまでバイトしていることを知っているから。察しのいい先生のことだ。私たちの口から言うのを待っている。
でもいうことは、できない。
春樹や茉莉花は大事だけど・・・・父も大事だ。
「何もないですよ。父は物書きなので・・・集中すると自分の世界になって人の声が聞こえなくなっちゃうんです。」
そう笑って、「ごめんなさい・・・もう帰らなきゃ。」と逃げるように帰った。
家に帰り冷蔵庫を確認すると、昼ご飯が残っていて、父が食べていないことが分かった。
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