第86話

「どうして·····ここに·····」


「密葉の学校ぐらい、知ってる」



そういえば、私はいつも制服姿だった。

学校ぐらい知ってるのは当たり前で。




「そうじゃなくて·····」


「うん」


「もう、会わないって·····」


「言ったな」


「じゃあ、どうして·····」



漆黒のような、髪と瞳は変わらない。

雨の中、キラリと光るピアス。




「やっぱ、あんたのこと、忘れられない。どうすればいい?」



そういう和臣の肩は、私を傘の中に入れているせいでどんどん濡れていき。


笑って、そう聞いてくるものだから、言葉が出ない。

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