第73話

「何してるのっ足·····!」


「なあ、嫌いじゃないんだろ?」


「松葉杖っ·····濡れて·····」


「俺の事、好きじゃないだろ?じゃあ楽しいとか、そんな気持ち無いだろ?会うだけなら大丈夫なんじゃないのか?」


「やめてってばっ!」


「密葉っ」


「もうやめてよ!!」




松葉杖が、雨で濡れていく。

私の顔も、濡れていく。




「·····密葉?」


涙が、止まらなくなる。




「これ以上、会えば、私は貴方を好きなる··········」


もしかしたら、今も·····。

だからこそ、後戻り出来ないうちに、和臣と別れないとって思ったのに。


これだけ好きだと言われて、気にならないはずがない。今までずっと我慢してた分、こんな気持ちになるのは、簡単な事だった。


私の理性が壊れていく。

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