第72話

「密葉·····」


「もう、会いにこないで」


「··········電話とかも?」



私はまた頷く。

もう、この人には関わってはいけない。

彼の··········、和臣の魅力に、私は引き寄せられる。




だからもう、今日で終わり。


雨が降っても、大丈夫かなって、怪我しないかなって思わないようにする。




「好きなんだ·····」


「うん·····」


「マジで、あんたに惚れてる」


「··········やめて」


「こんなの初めてなんだよ」


「やめてってば·····!」


「無かったことにしたくない」




ガシャンっと、大きな音がなる。

松葉杖を地面へと手放した音。


松葉杖を持っていたはずの手は、私の腕を掴み。




「·····和臣っ·····」


「やっと名前呼んでくれたな」




ああ、胸が鳴る。

涙が出そうになる。

目の奥が熱い··········。

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