第68話
「お姉ちゃん!!!」
侑李の声でハッとした私は、雨が降る窓から侑李の顔へと視線を移した。
「あ·····ごめんね」
「ぼーっとしてたよ?大丈夫?」
「うん、雨ふりすぎーって思ってた」
「ほんとだね」
本気で、戸惑う。
ダメだ、このままじゃ、ダメだ。
当たり前になってしまえば、戻れなくなる。
目の前に侑李がいるっていうのに、もしかしたら雨の中傘をさして歩いて来てるんじゃないかって思ったら、心配している自分がいて。
もし、このままこの状態が続けば?
もっと関わりが深くなっていけば?
侑李は··········?
ダメだ。
ダメだ。
戻れなくなってしまう。
戻さなきゃ、前の私に。
侑李だけを思う私に。
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