第66話
この人との壁は、きちんと作らなきゃといけないと思ったから。
それから1週間、土日も彼は病院で待っていた。この前の熱と発作のせいで、侑李の外出許可は中止になり、いつも通りのお見舞いになった。
「密葉」
今日もいる。
本当に待つことをやめない。
私の事を好きで、強引すぎる男。
「·····ギプス」
「 ああ、今日とれた。けど、まだ松葉杖」
「リハビリしてるんですか?」
「うん、明日からな」
まずいと思った。こうして普通に喋ってることが。
まずいと思った。こうして待っていることが当たり前になってきているということが。
たった2分の距離なのに··········。
「明日·····」
「ん?」
「明日も来るんですか?」
「そのつもりだけど」
「明日はやめた方が·····」
「なんで?」
「雨だから·····」
本気でまずいと思った。
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