第47話

結局、両親は30分ほどしか侑李と会話が出来なかった。

もう新幹線の時間が迫っているらしい。


悲しい事だけど、いい事もあった。



侑李の外出許可が出たらしく、来週の土曜日のお昼間だけ、家に帰っていいことになった。


それを聞いた侑李はすごく嬉しそうだった。


毎日毎日病院にいたんだもん、当たり前だよね。





「大和から聞いたわ、風邪ひいたんだって?」


お父さんと侑李がトイレへ行っている最中、お母さんが眉を下げながら言った。



「え?」


「お母さん達、密葉に任せっきりだから。ごめんね」



泣きそうになる。


お母さんはお母さんで、ちゃんと私の事を考えてくれているから。こんなにも嫌なことばかり考えている私に·····。




「ううん、私は大丈夫だよ」



涙をこらえて、笑った。

そうすればお母さんは安心するから。

だから、仕事に行ってきても大丈夫だよ、と。

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