第24話

良くないに決まってる。


私だって知りたい。


ずっと乙和くんのことが好き。


そばにいたい。



「…泣いてたの……乙和くん、別れる時…」


「乙和が?」


「乙和くん…、それぐらいの覚悟だった…」


「…」


「私がいる事で乙和くんが泣くなら、苦しむなら、もう関わらない方がいいのかなって…」



乙和くんに会いたい…。



「それを言うなら、乙和は今でも泣いてるかもしれない。別れる時泣いてたって、それぐらい小町さんのこと好きだったってことだろ?」



それぐらい好き…。

もっと、顔を見せてと言っていた大好きな人。



スマホを取り出した狭川くんは、「……小町さんは隠れてる?」と、私の方に顔を向けた。



「……さがわくん…」


「帰るなら止めない」



帰るなら…。


狭川くんから目を逸らせば、目の奥が熱くなり。気を抜けば涙が流れそうだった。



「………こわいの、」


「うん」


「余命とか、乙和くんの口から聞きたくなくて…」


「…」


「病名を聞くよりも、この世から乙和くんがいなくなるのが怖い……」



例え、命に関わってないといっても。

あの乙和くんが言えない病名なのだから。



「…それは明日かもしれない。自分の気持ちを伝えないままでいいの?乙和に伝えなくていいの?」



伝えないまま…。

乙和くんが、死ぬかもしれない…。



「俺はそうなりたくないから乙和のこと知りたい」


「…」


「人はいつ死ぬか分からない…。小町さんだって明日死ぬかもしれない」


「…」


「やらなくて後悔よりも、して後悔の方が、俺はいいと思う」








スマホを耳に当てた狭川くんは、乙和くんに連絡をしてるらしく。

電話は繋がったみたいで、この場所の名前を言っていた。


「乙和が来るまでずっと待ってるから」と。

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