第23話

なんて無力なんだろう…。


私はぎゅっと、ペットボトルを握りしめた。




「私も知らないの…」


「え?」


「乙和くん、教えくれなかった…」



私の言葉に目を開いた狭川くん。



「私も狭川くんと一緒だよ。何も知らないの。私に迷惑をかけられないって…別れた…」


「え…でも、」


「きっと乙和くんはもう、教えてくれない。乙和くんは優しいから、私が困ることをしないんだと思う」


「…」


「きっと狭川くんも、同じじゃないかな…」


「小町さんは、もし乙和が病気でも知りたいとか思わねぇの?傍にいようとか思わねぇ?」



思うよ、

思うに決まってる。

今だって、今すぐ乙和くんに会いたくて…。


今でも大好きって伝えたい。それでも、



「俺は知りたい…、だって、乙和、もしヤバい病気なら死ぬかもじゃん…」



死ぬ…

乙和くんが…。

でも、命に関わることじゃないと、小山くんは言っていた。



「……分かった、乙和にもう一回聞く。全部答えるまで、嘘ついても聞き出す」



そう言って、目の色を変えた男…。



「今からここに、乙和呼び出すから。小町さんは帰る?どうする?」



乙和くんをここに呼び出す…?



「俺はもう、覚悟できてるから…」



覚悟…。



「小町さんは、本当にこのままでいいの?」

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