第17話

私は、バカじゃない…。

もしかしたら、っていう考えが出来ないわけじゃない。



字を書くことが苦手な乙和くん。

そして、〝あの日〟、乙和くんは私が「消えたかと思った」と言ったり、得意な野球ボールをキャッチ出来なかったり、まるで空間認識がおかしくなっていた…。



頭はボールが直撃し、頭の検査をした乙和くん…。




そんな乙和くんが私に会いに来たのは、お昼休みだった。「ちょっといい?」と、その声は朝に聞いたような泣きそうなこえじゃなくて。



まるで私を拒絶したような声。



壁を作るようなその声に、喉がなった。



大好きな乙和くんが、私に本当の別れを告げようとしてる……。



人気のない廊下に私を連れてきた乙和くんは、眼鏡をかけたまま私を見つめてくる。


かっこいい乙和くんは、その眼鏡もよく似あっていた。

私を見下ろす彼は「…あの紙、迷惑だからやめて欲しい」と呟く。



2人きりの廊下では、乙和くんの声がよく響く。




「別れようって、言ったよな?」



久しぶりに、私に向けられる言葉が拒絶でも、こうして乙和くんに話しかれられるのが嬉しくて。



「もう関わらないでほしい」



嘘だって、分かってる。



「ノートもやめて」



分かってるけど、やっぱり辛い。



「あと勇心に、いろいろ聞くのもやめて」



泣きそうになる。



「俺が無理矢理、別れようって言ったのは悪いと思ってる。……でも、俺、そこまではるのこと好きじゃなかったから」



辛い。



「地味だし、眼鏡だし…可愛くないし」



きらい……。



「俺とは合わないと思ったから」



私は、乙和くんに信用されないほどだったのだろうか?

乙和くんはこのまま私を傷つけて、自分の体のことを言わないつもりなんだろうか?



「だから、別れてほしい」



私が、きっと、頼りないから。


私が頼りないから嘘をつかせているんだ。




ポロポロと泣き出す私を見て、乙和くんはどう思ってるのかな。



乙和くんは優しいから、〝こんな事言いたくない〟〝ごめん〟って、きっと思ってるんだろうなぁ…。

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