第14話

最後の一人、魁輝かいきに出会ったのは、『報告』の時だった。

たまたま鉢合わせしたらしく、中から出てきたそいつと目が合った。

ガラス玉のような透明感がある瞳を持ち、みんなが言っていたように髪が赤い。

いや、赤と言うよりも、少しトーンが落ちてる。ワインレッドのような赤い髪をしていた。



だるそうに、スリッパを鳴らしながら歩くその姿はまるでマネキンのよう。

こいつが、人をぐちゃぐちゃにしてるらしい。



「…どうも、はじめまして」



一応初対面だから、挨拶をすれば、色素の薄い目が向けられる。



「どうも」



そのまま自室に戻ろうとするから。



「お前が魁輝?」と、話を続けた。



「……そうやけど、なに?」



ワインレッドの髪に、白い肌。

まるでどこかのハーフ。

それなのに口から出たのは方言で、何だか違和感がした。


そして、ふわりと、そいつから血の匂いがした。



「1回、話をしてみたくて」


「…話?」


「運営も、ここにいるみんなも、魁輝はぐちゃぐちゃにするって、お墨付きを貰ったから気になって」


「…そうなん、知らんけど」



どうでも良さそうにする魁輝は、ふわぁと、あくびをする。



「俺もどっちかっていうと、ぐちゃぐちゃにするのが好きなタイプで」


「…」


「たぶん、仲良くなれると思うから」


「…」


「1回、人を殺すところ、見せて欲しいんだけど」

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