第15話
魁輝は1晩、じっくり女を抱いているようだった。手錠はしているものの、まるで恋人みたいに女を抱く。
恐怖があっても、魁輝とのセックスは気持ちいいらしい、抱き始めてしばらくたったころには女も甘い声をあげていた。
けど、次の日になると、女に麻酔もせず2階の血まみれの部屋で首をノコギリでギシギシと切り落としていく魁輝を見て、ああやっぱり俺に似てるなぁと思ったけど。
やっぱり、それでも興奮しない…。
シャワーを浴びて、興奮から落ち着いたらしい魁輝は、昨夜女を抱いていたベットで煙草を吸っていた。まだこいつはここに来て3週間も経っていない。
それなのに慣れていると思った。
ここは煙草も支給されるのか…。
「楽しかった?首を切った瞬間」
「…なんでそんなん聞くん」
「魁輝が楽しそうだったから」
「…そうやな、ええなぁって思ったところ、とりたくなるねん」
「…ふうん」
「でも今は普通…、賢者タイムみたいなもん。なんで抱いたんやろ…って思う」
「女を?」
「…やな」
「実際は殺したくないってこと?」
「…分からん」
「好きじゃないから、賢者タイムが起こるのかもよ?」
「アホやな…、好きなやつの首切って、殺したらどうすんねん」
「違う、好きだからこそ、するもんじゃない?こういうのは」
「…んー」
「魁輝は、女のいい所を見つけて、そこをとっちゃう異常性癖っていうのは分かったけどさ、」
「…」
「それって、どうなんだろうね。男でもぐちゃぐちゃに出来る、とは聞いたけど…それって本当に性癖なのか?ってな」
「…お前の言ってる意味、あんま分からん」
「そう?俺はここにいる異常性癖者の方が、分からない…」
「……」
「ここは、ただの遊び場」
「…」
「自分自身じゃない。メビウスによって無理矢理出される異常性癖なんだよ」
「…」
「本当に自分がしたい欲求こそ、〝異常性癖〟っていうんじゃねぇかな」
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