last day to go

第78話

「──…おまたせ、解放してあげる。7日間ごめんね?」



そう言って柔らかく笑う男、ハルヒは私の手の甲をとった。

──7日間。私が閉じ込められていた期間。

また涙を流す私は「…ほんとうに…?」とその人を見上げた。

嘘じゃない?

この人はすぐに嘘をつく…。



「うん、ほんとに」



笑いながら私の肩を抱き、「今までごめんね、辛かった?」と、当然のことを言ってくるその人に苛立つ…。

だけど、唇を噛み締めてそれを我慢した…。




本当に連れ出してくれるらしい、お風呂と排泄以外、この部屋から出られなかった私を、その人は連れていく。



閉じ込められた部屋の外の、水槽が置かれている部屋の中には、険しい顔をした柚李…。

そして楽しそうに笑っている赤い眼鏡…茶髪の男性と。

「るな」と、凄く嬉しそうに、にこにこしている流雨がいて…。



私の肩をずっと抱いているハルヒは、ゆっくりと私の肩を離し。



「じゃあ、俺は解放した、ってことで」



穏やかに笑っているハルヒに、一段と険しい顔になる柚李に、びく、と、するけど。

私を見つめる4つの目。

分からない、分からない。


解放?

本当に解放してくれたの?

私はもう、ここから出てもいいの?



「ゆ、ゆうり、さ」と、彼の名前を呼ぶけど、彼は何も喋らなかった。

ただ難しい顔するだけ。


突っ立ってる私に、「もう晴陽が解放したから、いいよ?もう。自由にして」と、赤い髪をした人がそう言ってきたから。



ほんとうに、いいの…?


本当に…。



まるで、その4人から後ずさるように、半歩、半歩。引きずりながら歩き。



出口へと向かった。




出口へと向かう間に、動く足がはやくなる。

アリみたいな動かし方だったのに、扉につくころにはもう走り出していて。



靴も履かず、その扉を開けようとした、



でもその扉は開かなかった。




「どこいくの?」



と、やけに甘い、彼の声が、背後から聞こえたから。その人の腕が私のお腹にまわる。


え、…と、青ざめた顔で後ろに振り向けば、やっぱり後ろにいたのは、その人で。

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